第7章  司 法

第83条 司法権は、最高裁判所ならびにこの憲法および法律の定めるところにより設置される下級裁判所に属する。
2 行政機関は、終審として裁判を行うことはできない。

第84条 司法権の独立は、これを侵してはならない。
2 すべての裁判官は、この憲法および法律ならびに裁判官としての良心に従い、独立してその職権を行使する。
3 すべての裁判官は、中立公正な判断を保つため、革命イデオロギーを有した青年法律家協会等の政治的色彩を帯びる団体に加入してはならない。

第85条 裁判官は、裁判によって心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合、および弾劾裁判による罷免の場合を除き、罷免されない。

第86条 最高裁判所は、長官および法律の定める員数の裁判官で構成する。
2 最高裁判所長官は、内閣が指名し、その他の裁判官は内閣が任命する。
3 最高裁判所の裁判官の任期は10年とし、再任することができる。

第87条 最高裁判所は、一切の条約、法律、命令、規則または処分の憲法適合 性を判断する権限を有する終審裁判所である。

第88条 最高裁判所は、訴訟手続きその他について、規則制定権を有する。

第89条 下級裁判所は、法律の定める員数の裁判官で構成する。
2 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所が指名した者の名簿の中から内閣が任命する。
3 裁判官の任期は10年とし、再任することができる。

第90条 裁判所の審理および判決は、公開の法廷でこれを行う。
2 行われた犯罪行為に対しては、加害者の年齢や心神喪失状態等を考慮するのではなく、加害者の責任ある人格の行為の結果と見なして、審理、判決を行う。
3 法律に定める凶悪犯罪は加害者の年令を問わず全て起訴することとする。
4 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序または国益上、重大な支障が生じるおそれがあると決定した場合には、審理はこれを非公開とすることができる。

第91条 憲法の最高法規性を保障するため、最高裁判所の中に憲法裁判を専門に行う憲法裁判部を設置する。その裁判官は、最高裁判所の裁判官の中から、互選により選出する。
2 裁判所が、具体的争訟事件において、適用される条約、法律、命令、規則又は処分が憲法に違反するおそれがあると認めたときは、裁判手続きを中断し、最高裁判所の判断を求めることができる。
3 憲法裁判部は、適用される条約、法律、命令、規則又は処分が憲法に違反しないと判断したときは、当該下級裁判所に通知し、憲法に違反する疑いがあるときまたは判例の変更若しくは新たな憲法判断が必要と認めたときは、裁判官全員で構成する大法廷に回付しなければならない。
4 最高裁判所が憲法違反と判断した条約、法律、命令、規則又は処分は、その争訟事件において、効力を有しない。
5 憲法裁判部の組織及び運営については、法律でこれを定める。