ほろ酔い日記 12
「ママ、こんには~。今日はシニアソフトボールの練習で疲れたので、ビールと豚串し2本にして。」
「ハイハイ。ところで少し前の新聞で、“チリ広がる衣類の墓”という見出しを見たんだけどこれって何のこと?」
「南米チリの太平洋側に、南北約千㎞のアタカマ砂漠というのがあって、この砂漠一体に約10万トンのシャツ・ジーンズ・セーター等の衣類ごみが世界中から集まっているそうです。」
「えっ!そんなところに世界中から?どうして集まっているの?」
「要は、チリ政府がこの砂漠近くのイキケという港湾都市を“自由貿易地域”に指定し、輸入時の関税がかからないからだそうですよ。」
「ふ~ん。それで売れ残ったものや、古着になった衣類がアジアやヨーロッパ各地から運び込まれるって訳ね。」
「国連の報告によると、衣類の年間生産量は2014年で約1千億着だそうです。」
「それにしても、年間降水量が10mmしかないこの砂漠に10万トンの衣料とは、出火でもしたらと思うとぞっとするよね。」
「安い価格で流行を取り入れたファッションの広がりの所為で、大量の売れ残りや短期間での廃棄になっているんだろうね。」
「着古した衣類だけでもこんな状態なのに、プラごみや食品ごみ・金属ごみ等が毎年50万トン以上も世界中の空き地や海に捨てられているというのだから、大量生産、大量消費は本当に見直さなければならないわよね。地球が悲鳴を上げているわ!何とかしなきゃ。」
「ママの言うとおりだけど、残念ながら大量生産、大量消費の見直しは難しいと思うよ。 だって、日本も世界の国々も消費を喚起して経済を成長させようと必死なんだから。」
「う~ん、こんなに物で溢れているのに、まだまだ足りないと言っている人間って、一体何なのかしら?」
「人間は欲望の塊で、地球にとっての“招かざる客”ってとこかな ア。」
「気取ったこと言ってないで、大量生産や大量消費をしても、ゴミ減量が両立できる画期的ないい方法を考えなさいよ!。」
「はい、分かりました。夜も寝ないで昼寝しながら真面目に考えます。」