ほろ酔い日記 8
「ママ、こんちは~、今日は久々に黒ビールにするわ。」
「あ~ら、黒生なんて、珍しいわね。」
「そういえば、今日の朝刊に載ってたけど、ホンダがEVをゼネラルモーターズと共同開発して5年後に約360万円で販売するんだってね。」
「イタリアでもフィアット500のEV車が今年6月に税込み450~500万円で売り出すそうですよ。」
「だけどね、ママ、脱炭素のためにEV車にするっていうけど、実際には脱炭素にはならないんだよ。」
「えっ、それはどうして?」
「それは、バッテリーに蓄えた電気でモーターを駆動するEV車は、CO2を一切出さないけど、しかし、そのバッテリーに蓄えられた電気はどこから来るのかという点なんですよ。その電気をつくるのは、天然ガスか石油か石炭による火力発電所ですよね。であればCO2の出口が車のマフラーから発電所の煙突に変わっただけですよね。これがEV車の正体なんだよ。」
「それに、EV車のコストを引き上げているそのバッテリーは、ニッケル、リチウム、コバルトといった原材料コストがその3分の2を占めているそうで、問題は世界中で計画されているバッテリー大増産計画に見合うだけの原材料が確保できないことにあるそうです。つまり、売れれば売れるほどEV車は高くなる可能性があるのだそうです。」
「ヨーロッパの自動車メーカーでは各社ガソリンエンジンの車を近い将来に禁止すると決めているそうだけど、EV車は値段も高くて皆が車を持てなくなるんじゃない?」
「そうだね、値段が高いので、EV購入の補助金が設定されているが、補助金がなくなればEVを買えない層はいつまでも古い車に乗り続け、温暖化対策には逆行するのではないかと。言われているんです。」
「それに、EV車は部品が3,4割減るので、組立工程もその分減り、雇用者数が減るんだそうです。さらにエンジン関連部品を製造する企業にも影響する。 そのため、大きな自動車産業を抱えるドイツは、雇用のことを考えてガソリンエンジン車の使用禁止年を打ち出していないそうですよ。」
「なんだかんだ言っても北欧やドイツは賢いわね、その点、日本は馬鹿正直にどの自動車メーカーもEV車に完全転換するとかいって、自分で自分の首を絞めているような気がするわね~。」
「そう、ママの言うとおり!」
「参考までだけど、トヨタは1997(平9)年の初代プリウス発売以降、1,500万台以上のハイブリット車を世界で販売し、1億2千万トンのCO2排出を削減したそうです。これは、東京都と同じ面積の森林が吸収するCO2の62年分、ガソリン消費量でいえば、ドラム缶2.3億本分の削減だ。 EV車のような充電ステーションや発電所、送電網といった電力インフラに依存せず、ガソリンスタンドで給油するだけで足り、価格も安く、環境に大きく貢献しているそうなんです。」
「だから、今回の欧州メーカーのEV車戦略はトヨタつぶしともいわれているんだよ。」
「日本政府は企業に任せっきりにせずに、通産省や国交省が国策として指導力を発揮すべきですよ。米欧の言いなりになってCO2削減策を進めるなどやめて、独自の削減策を打ち出すべき時だと思いますね。」